Google STEPプログラム 2019に参加している話

Google STEPプログラムをご存知ですか?
STEPとは,Summer Trainee Engineering Programの略で,5月から7月にかけて行われる教育プログラム(STEP Development Course)と,その後選考を経て進める最低8週間のインターンシップ(STEP Internship)を総称したプログラムのことです. 対象は大学生,そして,主に情報系の分野を学ぶ女子学生のスキルアップをサポートすることを目的としたプログラムです.

教育プログラムでは,8週間,毎週金曜日に3時間の授業を受け,そのあと参加者やGoogleの社員さん(エンジニアの方や人事の方など)とお話ししながらディナーをいただきます! 参加費は無料,遠方からの参加者には交通費も支給されます.なんといっても授業をしてくださるエンジニアやプログラムを運営してくださる社員の方は完全にボランティア!本当にありがたい機会です.

応募の流れ

1. 募集ページで応募
応募は全部英語!4~5月くらいの時期に,Googleインターンや採用をまとめたページにSTEPの応募ページが出現します.
英語のResume(履歴書)と,軽いCover Letterを書くフォームがあり,私は動機やこのプログラムが自分にどのように役に立つかなどを書きました. Resume(CVとも言ったりする)の書き方やCover Letterについては,検索するとたくさん出てくるので,書き方が分からなくて不安…という方は調べてみてください!

2. コーディングのクイズ
応募の締め切りが過ぎたあと,簡単なコーディングテストをするためのリンクが送られてきます.時間制限のあるGoogleフォームの形式で,Java, C, C++, Python, Go のいずれかを選択して解くことができます.(Go大好きなエンジニアの方がSTEPを運営していて,誰も選ばないのにGoの問題を作成していたらしいです(笑)そのあとの授業の課題でもやたらとGoのサンプルプログラムを配布してくれます.)
緊張してしまいますが,専門的な知識がすごく必要なわけではなく,時間にも結構余裕があるので,runして確かめながら見直しまでしてテストを乗り越えました!

3. 結果通知
どうやらクイズの成績が良い順の選考というわけではなく,STEPに参加する意義があると思える一定のレベルを超えている人の中から,平等に機会を与えているようです.(とても幸運…!)
貴重な機会なので,基本的には全8回全てに参加できることが条件ではありますが,止むを得ない事情があっても,最低でも6回は参加してね,と言われました.
今年は参加者45人の大所帯!毎年規模がちょっとずつ大きくなりながら,授業として成り立つ程度の上限の人数で,各地から女子学生が集まってきています.(六本木オフィスに通える首都圏の学生だけでなく,全休などを利用した地方からの参加者や,夏休みを使って海外の大学から来ている子もいます.)

毎週金曜日17:00〜20:00の授業

第1回

みんなちょっと緊張した面持ちで,時間に余裕を持って六本木オフィスに到着していました.友達と一緒に応募した〜という子は結構おらず,その場で近くの子とおしゃべりしてみる…という感じ!
授業は全部日本語で行われますが,スライドは英語併記だったりします.留学生の子も多く,大学も幅広く,参加者の子と喋るだけで楽しいプログラムです.

1回目はSTEPメンバーである社員さんの自己紹介やアイスブレーク,メンターさんとの顔合わせ,Googleについての紹介や,コンピュータサイエンスとは?ということ,STEPの意義などについてのレクチャーを受けた後に,ゲームを自動で解くプログラムを書く課題と,Gitについての軽い紹介を受けました.

授業後は割り振られたグループの子と一緒にピザ!社員さんも混ざったりして,お互いの大学の話や仕事の話を聞いたりしました.(ごはんの時間は自由解散!)
また,この日にSTEP2019の全体のSlackにも入り,メールでもSlackでも,いつでも質問やおしゃべりができる状態になりました.

☆ メンターについて
STEPの大きな魅力はメンターさんの存在なのではないかと思います!参加者3人に対して1人くらい,Googleのエンジニアさんがメンターとしてつきます.課題についての質問はもちろん,色んな相談に乗ってくれる存在です.どれくらいメンターさんの存在を活かせるかは自分自身のアクション次第!ではありますが,こんな優秀なエンジニアの方にコードのレビューをしてもらったりできる機会はなかなかないので,どんどん活用したいですね!

メンターさんはランダムに割り当てられますが,日本人のエンジニアの場合もあれば,海外の方で,そこまで日本語が…という方もいます.その場合はメンターさんとのやり取りは英語になりますが,仮にGoogleでエンジニアとして働くとなれば英語は必須!!なので,これも練習のいい機会ですね.(私は英語やり取りするメンターさんでしたが,ラッキーだなと思っています!)

1週目の課題は私自身忙しくてきちんと終えられなかったのですが,メンターさんはとても丁寧にコードにコメントをくださって,感動してしまいました!!この課題は結果のランキングが見えたりする形式だったので,ちょっと競争感も出て楽しかったです.

☆ STEPの意義について
STEPは基本的に女子学生向けのプログラムです.情報系の分野にはやはり女性が少ないので,そういう支援は必要なのかなーとか,女子だけずるい!とか色んな意見があるとは思いますが,STEPの意義についてのお話は,私の経験にも結びついて,大変印象に残りました.

ちょっと記憶が曖昧ですが,「Googleは数の点においてCS(情報科学)分野の男女を平等にしたいわけではない」という言葉が刺さりました.少ない!という問題はよく言われていますが,問題の本質はそこではない.私の解釈にもなりますが,むしろ,そんな環境によって,男性と同じような機会を受けにくい状況に陥ったり,同等に評価されにくかったりする,そういうことが問題である!という話です.

こういう話題はいわゆるReverse Discriminationにもなり兼ねなくて,慎重に話をしなければと思いますが…
例えば,大学やその周辺で技術を学ぶコミュニティがあったとしても,男性しかいなければ,やっぱり入りにくい.男性しかいないところに入るというのは,怖いとかそういう単純なことだけではなくて,「変に気を遣わせてしまうかな?」とか,「自分が入らなければ話せる話題ができなくなってしまうのかな?」とか,逆に申し訳なくなったりする感情もあったりします.性別を意識せずに誰とでも友達!になれる人もいたりしますし,そうであるべきなのかも?と考えなくもないですが,やっぱりコミュニケーションの形や関係性は,性別の違いで隔たりがあるのは割と一般的な話だったりするのではないかと思います.
なので,まとめると, - 勉強会,スキルアップの場などのコミュニティに入りにくい
- 入れてもいらない心配に時間を取られてしまう
みたいなことは,少数派である以上はあるのかな,と思います.

さらに,このレクチャーで出てきた,プルリクエストの承認率の男女差のデータの話題.おそらくソースは以下のリンク先のものなのかな?と思いますが,

peerj.com

簡単にいうと,GitHubなどでのPull Requestで,アイコンなどからあからさまに女性だと分かる場合と分からない場合で承認率が変わってくるというデータがあるという話でした.アイコンから判別できない場合にはむしろ女性の方からのプルリクの承認率が高いのに,分かる場合だと低くなってしまう,ということだそうです.これは一概に「女子だと分かると承認しない」と解釈するには速すぎますが,同じ成果を出しても女性の方が低くevaluateされがちである,という論文は他にも出ていたりして,まだまだやっぱり大変な問題はあるのかな,と現実を受け止めて,いかに自己表現していくかを考える必要性もあるのかな?と思ったりしました.

また話は少しずれますが,私個人的には,少数派であるとき,自分にできないことがあると,「自分自身のスキルの問題なのか,ただの努力不足なのか,はたまた最初から女子にとっては向いてないことなのか」と,よく分からなくなってくることが嫌だなと思います.実際「女子は理系・情報系が苦手」っていうことは生物学的にはきちんとは裏付けられてないし,脳の性差の話題もありますがこれは固定観念によって生まれたものではないかとも思います.(私は比較的そっちを主張している状況です.)もし周りにも十分な母数の女子学生がいて,優秀な子がいれば,自分の可能性を見限ったりすることなく,負けないぞ!とスキルを高められるのにな…と思うことが多々あります.この葛藤をするのも個人的には楽しいので結局良いのですが!!日々,環境と自分自身を分析しながら,難しいゲームを解いている感覚です.

だからその分STEPで華麗なコードを書いていたり,クリティカルな意見を表現する他の参加者の子を見るたびに,「うわ〜〜こういうコミュニティや環境,大事!」と実感しています.

第2回・第3回

現在は3回目までの授業が終わったところです.ディナーはお弁当が出たり,毎週同じというわけではなく,運営してくださっている社員さんも何を用意すればいいか結構試行錯誤してそうでした(笑) その感じがまたいいですね.

授業の内容の詳細まではレポートしませんが,何人かのエンジニアさんが交代で,CSの色々な話題について授業してくれます.授業内では発言したり,周りの子と話し合う時間もあります.
個人的には,回を重ねるごとに周りの子との会話も楽しくなっていっている気がして,次回以降も楽しみです.

オフサイト

8回の授業とは別に,期間中のどこかの土曜日に「オフサイト」が開催されます.これは,授業ではなく,いわゆるソフトスキルを身に着けるための話を聞いたり,STEPインターンの選考に進むにあたり擬似面接(Mock Interview)をさせてもらったりするのかな?という予定です.
今年は色々なGoogleのエンジニアさんとお話しできる時間があるかもしれないということで,オフサイトが待ちきれません!


こんな感じで,今後の授業や7月のインタビューなどについても,何か共有できることがあれば記事にしたいなーと思っています.
情報系の女子学生は,ぜひ,学校の授業を切ってでも,STEPに参加してみてほしいです!私もまだ今年のを受け始めて間もないですが,全力でおすすめします✨